貨物船「オレゴン丸」は南カリフォルニアにあるサンペドロ港に着きました。
そこで同船していた4名のお客さん全員が下船し、私だけがニューヨークに向けて航海を続けました。こんな客は珍しいということでした。
毎日景色の変化はなく、海、海、そして青い空でした。何もすることがなく、話をする客もないので、船内に置かれていた本をひたすら読み続けました。
船のおかげで、名前だけはしっていたパナマ運河を通過した時は、とても大きな感動を覚えました。ひとつの枠の中に船をいれて、水で浮かばせ、次の枠に進むというのです。反対に船を下げる作業もありました。暑い熱帯地であり、濃いみどりの美しい印象が残っています。
このアメリカで新しい生活がはじまるのだと心が燃えるよりも、不安の方が大きかったのです。
英語も分からず、この大陸で生活していくという不安は、いざアメリカに住んでみないと分からないことでした。
吹上
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